i-Linkage:書誌情報検索サービス

i-Linkage:書誌情報検索サービス(http://i-linkage.nii.ac.jp/cinii/)

ずいぶん前のことになるが、NII(国立情報学研究所)のオープンハウスでデモを見て、これが実用化されるとずいぶん便利になるなあと思った。もちろん、NIIの正式なサービスとして使えるようになるとうれしいけど、今のデモシステムを使うだけでも結構便利な気がする。

論文の最後にある参照文献リストをコピー・ペーストして、ボタンを押すだけで、Ciniiとマッチングして、結果を表示してくれるんだから。参照文献リスト以外でも、データベースの検索結果なんてのもありだし。

例えば、教育研究論文索引で論題「多読」で検索した結果の最初の10件をコピペしてみて実行してみた。すごい。こりゃ便利だ。

8. 多読の効果を検証する / 島緑 -- (京都教育大学教育学部附属高等学校研究紀要 68, 2000.1) 【P621-2G-68】

これが↓に同定される!

島,緑; 橋本,雅文; 高田,哲朗; 磯部,達彦; 境,倫代; 築山,徹
多読の効果を検証する
研究紀要 68,28-47,20001031(京都教育大学)
http://ci.nii.ac.jp/cinii/servlet/Kensaku?DOCID=110004615054

雑誌名が「京都教育大学教育学部附属高等学校研究紀要」→「研究紀要」と全然違うのに、同定されるってのもうれしいけど、なんといってもこの文献はCiniiに本文PDFがあるのだ。教育研究論文索引は教育図書館が所蔵している学術雑誌から教育分野の論文を対象として収録している論文書誌データベースだが、本文PDFの公開はやっていない。でも、こうやってCiniiとひもづけられると、本文PDFまでかなり楽にたどりつけるじゃないか。たとえ、Ciniiから直接本文PDFに行けなかったとしても、Cinii経由でいろんな先へとべるので、Directory of Open Access Journals in Japan(DOAJJ)が設定してあれば本文PDFへとたどれるし、購読している電子ジャーナルへたどれるじゃないか。もちろん、Webcatにもたどれるしね。

DOAJJについては、以下で便利さがわかるかな。

"Directory of Open Access Journals in Japan(DOAJJ)"公開・・・いや、これ凄いんだって - かたつむりは電子図書館の夢をみるか

このi-Linkageのすごいところは、書誌に多少異なる記述があっても、同定して結果を表示してくれるところ。データベースによって書誌データの書き方が異なるし、参照文献リストは雑誌名の省略形を使って書いてたりするし、これまたいろんな書き方が存在する。また、入力ミス等による間違いもよくある。そのため、書誌データが手に入ったとしても、論文にたどりつくのは面倒だったり、難しかったりする。でも、i-Linkageを使えば、かなり楽になるな〜。たとえば、ある論文を読んでいて、その論文で参照されている複数の文献を読みたいと思ったときとかに使うと便利そう。

i-Linkageは、人手で行っていたCiniiのデータ中の重複書誌の同定作業を、いかに効率的にできるようにするかという視点から必要に迫られて開発が進められたようだけど、データの作成サイドだけじゃなく、利用サイドでもかなり有用な仕組みだと思うなあ。あと、このi-Linkage、現在の体験版デモシステムはCiniiのみであるが、仕組みとしては論文書誌だけでなく、書籍でも可能でらしいです。

i-Linkageの仕組み等の詳細については、以下の文献を参照のこと:

(教育研究論文索引の「多読」で検索した結果の最初の10件をi-Linkageにかけたところ)